2025年度の、慶應義塾大学文学部総合型選抜について


東京・吉祥寺の個別指導の学習塾、教室アルファです。

教室アルファのホームページをご覧の皆様の中で、関心が高いと思われる、2025年度の慶應義塾大学文学部の自主応募制による推薦入学者選考、通称総合型選抜について、ブログでお話をしたいと思います。

(1)難易度について

まずは、難易度についてです。結論から言いますと、難易度が上がる予想をしていましたが、例年よりも総合考査I、総合考査II共に平易化したと判断します。

難化するという予想の根拠は、募集要項にありました。昨年の試験科目にはない記述、「外国語(英語・フランス語・ドイツ語のいずれか)による作文能力も合わせて評価します」があったためです。また、文学部の一般入試において、自由英作文が問題になったことから、英語(正確には外国語)の比重が重くなると考えました。

慶應義塾大学文学部総合型選抜募集要項
2025年度慶應義塾大学文学部総合型選抜募集要項より引用

予想は外れましたが、参考までに具体的に難化すると考えたポイントは次の通りです。

①総合考査Iにおいて、問3問4に加えて、同じ様に和文英訳をする問題が増える。つまり、傾向は同じで、問題が多くなる。

②総合考査Iにおいて、課題文への意見や感想などを求める問題が増えて、自由英作文が問われる。

③総合考査IIにおいて、一部を英語で解答させる新しい問題が増える。総合考査Iの場合よりも、より自由度が高く、かつ自分の見識が問われる内容を、英語で答える。

①ですと、難易度はわかりませんが、問題数が多くなるので、時間配分に気をつけることが必要でした。②や③ですと、今となってはですが、英作文よりも、日本語で解答を書いた上で、それを英訳する聞き方をされる場合が、最も負荷が高いので想定をする必要がありました。特に②ですと、課題文を理解しつつ、その内容や論旨に沿いながら自分の考えを外国語で書くので、総合考査IIよりも、採点する方も、ワーク量が多くなると予想されます。日本語の内容の論理的整合性を採点し、かつ英語が日本語で書いた内容が過不足ないかという採点をするということです。

いずれにしても、時間の管理が大切になります。特に総合考査IIで傾向が変わった場合は、60分の内10分から15分くらいを使わなくてはならなくなるので、時間が足りなくなることが予想されました。事前に想定をしていたとして本番でいざわかっても、動揺しないで心を穏やかにするのは難しい。心構えが必要でした。

募集要項の言葉が変わらず、次年度以降も同じまたは同じような表現があるならば、次年度以降に徐々に変わっていくかもしれませんので、ブログに書きました。

参考になればよいと思います。

慶應義塾大学文学部の過去問
慶應義塾大学文学部の過去問

(2)総合考査Iについて

課題文では、現代のアメリカ社会について述べられていました。ここ数年のアメリカの社会問題についての内容であり、第2次トランプ政権下でも変わらないので、中学生から国際ニュースをチェックしていなくても、最近の報道で知った人も多かったと思います。

またサンデルを引用したり、話題になった東京大学の入学式での祝辞で述べられた「東大に合格した努力は、果たして純粋に自分の努力の結果といえるのか」という趣旨の問題提起、流行りの「タイパ・コスパ」についてや、ミヒャエル・エンデのモモからの引用など、文章全体として、初めて知る内容ではなかったのではないでしょうか。

慶應義塾大学の合格に向けて努力をしている受験生として、共感しやすく、考えさせられる論旨なので、多くの受験生にとっては例年よりも読みやすかった内容だと考えます。その分、筆者の論旨も追いやすかったでしょう。

問題については、設問の1、3、4は例年通りでしたが、設問2では解答の方向性が示されていて、その分でも取り組みやすかったと思います。課題文の読みやすさと、設問2の取り組みやすさから、易しくなったと判断しました。

(3)総合考査IIについて

過去5年の出題を振り返ると、AI、エビデンス、価値観、多様性、進歩といずれも今現在の思想的な問題点について、社会で問題となっていることを踏まえながら自分の考えを述べるという傾向が続いています。非常に文学部らしい問題ですね。

そのため、総合考査IIの難易度は問題文に直結します。例えば2019年度は、2018年に発表された鈴木貴之の「100年後の世界-SF映画から考えるテクノロジーと社会の未来」から、トランスヒューマニズムという考え方を引用し、考えを述べるものでした。おそらくですが、ほぼ全員の受験生が初めて知る単語・概念であり、試験会場では多くの受験生が動揺したのではないでしょうか。

2025年度は具体的に、ゴミ箱ロボットが例として出された文章でした。大阪万博では、ゴミ箱ロボットに加えて、お掃除ロボットやアバターロボットなどの展示がありましたね。大阪万博に行っていない人や知らなかった人でも、猫の顔が表示される配膳ロボットは、多くの外食チェーンで使われているので、日常生活の中で見たり利用した人も多かったのではないかと思います。

ゴミ箱ロボットの例で問われたのが、両義性でした。ポジティブ・ネガティブという具体的な言葉が問いにあり、解答の方向性として社会にもたらす意義と示されていたので、多くの受験生がまとめやすかったと思います。

従って、問題文の例・問われている考え方が身近であり、解答の方向性も示されていたことから、総合考査IIについても易しくなったと判断しました。

(4)まとめ

2025年度の慶應義塾大学文学部の総合型選抜入学試験は、想定とは逆に、易しくなりました。ですが、その分、ミスが許されず解答の精度が求められたと推測します。

特に総合考査IIについて、多くの高校3年生は、約1時間で最大400字で自分の考えを述べることは難しいと思います。練習をした人ならばわかりますが、90分で800字よりも、60分で400字の方が難しい。それは、与えられた時間に原因があるのではありません。要求される文字数が短いと、まとめるのが大変で、書いていってわかりにくかったり、論旨や方向性が違うと気がついても挽回が出来ないからです。

それ故に、400字でまとめる技術も必要なところが、慶應義塾大学文学部の自主応募制による推薦入学者選考のポイントでしょう。

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